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お花の指定をすると、なぜ予算が上がるのか

お花の指定をすると、なぜ予算が上がるのか

2022年01月23日

こんにちは。
Sakaseru代表のオビです。

いつも大切な想いをSakaseruに託して頂き、
本当にありがとうございます。

大変ありがたいことに、Sakaseruでは想いを込めてお花を
ご注文頂けるお客様に恵まれています。

一方で、「◯◯の花を一輪入れたい」等お花のご指定のご希望も
ご相談頂くことが多く、下記のような理由でご相談に中々お応え出来ない状況が心苦しい状況で御座います。

・ご予算が跳ね上がってしまう可能性が高い
・ご希望の花が流通のしていない可能性が高い
・在庫確認のコストが掛かる

これはひとえに、僕たちSakaseruがお客様にきちんと情報を提供していないからだと考え、
今回のコラムでは、お花の指定をすると何故予算が上がるのか。

お花を提供する立場からお伝えさせて頂きます。
こちらのコラムを通じて、少しでもお客様とお花屋さんの情報格差が無くなる事を目的としています。

お花の仕入れの状況から数字のことまでご紹介しておりますので、
是非最後までお読み頂ければ嬉しいです。

尚、お客様に伝わりやすいよう、一部説明を簡略化しております。
100%精緻では御座いませんこと、予めご了承下さい。



結論



お花の指定をすると予算が上がる理由は、
指定のお花を仕入れる場合、数十本単位で仕入れなければならず、さらに余ったお花は他の販路で販売出来ない事が多いからです。

これにはまず、お花の仕入れに関して知って頂く必要があります。



お花はどうやって届くのか?



お花は、次の様な流れで僕たち消費者に届きます。



お花の流通経路



この図を元に農家さんの立場になり、お花の出荷を考えてみます。
農家さんはお花の栽培から収穫、市場への梱包発送作業を行います。
ダンボールに詰められたお花は市場まで届ける必要がりますので、当然配送費用が掛かります。
この為、農家さんの収益の観点から、1輪や数輪だけ市場に発送した場合採算が合わなくなりますので、数十本といった単位で出荷することになります。この単位のことをロットと呼び、ロットの単位は花によって異なります。



ダンボールに梱包されたロット単位の花々



お花屋さんがお花を仕入れる時に考えること



次に、お花屋さんの視点に立ってみます。

前述の通り、お花屋さんはロット単位で運ばれた花々を市場で競り落としたり、或いは仲卸を通じて購入することになります。
この時お花屋さんがお花を仕入れる際も、ロット単位で購入する必要があります。
つまり、1輪や数輪など少数のお花だけを仕入れることは基本的に不可能です。

例えば一つのアレンジメント花に3種類のお花を使い、それぞれのロットが20の場合、仕入れるお花の量は最低でも
3(種類)☓20(輪) = 60(輪) となり、意外と多くの仕入れが必要になる事が分かります。

仕入れる際に考えることはロスについてです。
ロスとはこの場合、販売できずに捨ててしまうお花の事を指します。

先程の例ですと、60輪仕入れたお花の内
・100%販売出来ればロス率は0%(0本)
・70%販売出来ればロス率は30%(18本)
といった事になります。

仕入れたお花のロス率を減らすことが、お花屋さんを経営する上で大切な事になってきます。
加えて、お花は一部の食料品のように冷凍保存等する事が出来ませんので、3〜4日経って販売に耐え得ない状態となり、ドライフラワー等でも保存できない場合は、破棄することとなります。

つまり、仕入れの難度は保存できる他の素材に比べ高くなります。

では、どの様にしたらロス率を低くすることが出来るのか。
今回のテーマは「お花の指定」ですので、そちらにフォーカスして考えてみます。
答えの一つは、汎用的に使用できるお花を仕入れる。ということです。

汎用的に使用できるお花を仕入れることで、多種多様な注文のアレンジメントに使用することが出来ますので、結果としてお花を使い切り易くする事が出来ます。

例えば、バラやカーネーション等は比較的どの様な商品でも使いやすいため、汎用性が高いと言えます。



汎用性の高い花々で作られた商品



一方で、例えばレインボーローズと呼ばれるインパクトのあるお花は、汎用性が低いと言えます。
レインボーローズはその特徴から使用用途が限られるからです。
※あくまでも汎用性のお話ですので、好き嫌い・良し悪しと汎用性は相関致しません。
※僕自身レインボーローズが美しく使われたアレンジメントは見ていて気持ちが明るくなりますので、好きです。



レインボーローズが使われた商品



以上のご紹介で、お花屋さんがロス率を下げるための一つの施策として、お花の汎用性が重要だということが分かったと思います。
因みにロス率を下げることは、お花業界に限らず多くの業界でお客様を含む業界全体に還元される事だと思いますので、決してお花屋さんだけが得をする話ではありません。



お花のご指定を受けた際にお花屋さんが考えること



※あくまでも一例として読んで頂けると幸いです。
先程お伝えさせて頂いた通り、仕入れたお花が他の商品や仕事で使えるかを考えます。
Sakaseruであれば、同日に発送させて頂くご注文同士で共有できるお花である場合、汎用性が高くなります。

例えば「赤のバラを入れたい」とのご指定であれば、他に赤系統のご注文を頂戴している場合、仕入れたお花をそれぞれのアレンジにお入れすることが出来ます。バラは一般的なお花ですので、汎用性が高くなります。





一方で「レインボーローズを入れたい」とのご指定の場合、他にレインボーローズが合いそうなご注文を頂戴していない限りは、お花のロスが発生する可能性が高くなります。
例えば、特に何もリクエストしていないにも関わらず、レインボーローズがお客様のアレンジに入っていたらびっくりしますよね。
ロスをゼロにする事は、該当のご注文で仕入れたレインボーローズを全て使い切らない限りは難しい状況です。
※レインボーローズに限らず、特殊なお花や他の商品では使いづらいお花も当てはまります。





例え「1輪だけレインボーローズを入れたい」とのご指定を受けた場合であっても、先程お伝えさせて頂いた通り、ロットでの仕入れを行いますので、仕入原価はロットであろうが、1輪であろうが変わりません。

「100%確実に入れたい」とのご要望をお受けさせて頂いた場合は、例え少量の使用であったとしても、ロットで仕入れた分のお見積りをお伝えさせて頂いております。

恐らく、ここがお客様とお花屋さんの認識の差を生んでいます。

お客様からすれば、
「たった一輪入れるのに何故そんなに高くなるのか?」
「前回は一輪入れるのに予算が変わらなかったのに。足元見て見積もっているのではないか?」
こんな事を思われるかも知れません。

ご指定のお花の汎用性が低い場合、輪数に限らず仕入原価はロット分掛かりますし、
以前のご注文で同じお花を指定されて、今回のお見積りよりも低い値段でご購入されていた場合、前回は他の商品に入れることが出来たので、たまたま汎用性が高かった。運が良かった。といった事が考えられます。



数字で見る仕入れの値段と販売価格



ではここで、販売価格1万円のお花を指定あり・無しそれぞれで販売した場合、仕入れ価格と販売価格の関係性について見てみます。
下記の図は僕の方であくまでも概算で作った数字になりますので、Sakaseruの各フラワーデザイナー、他のお花屋さんには一切適応されない事を、予めご了承下さい。



仕入れと販売価格例(クリックして拡大)



上記例は次の条件で作ってみました。
- お花の原価率を30%とする
- お花の指定をされない場合(図中A)
- お花の指定をされた場合かつ、他のご注文で一切お花を使えなかった場合(図中B)
- お花の指定をされた場合かつ、他のご注文でも一部お花を使えた場合(図中C)
- お花のご指定をされても、その他の汎用的なお花をアレンジに30%程度使用する
※数字はあくまでも例です。

図中のBとCに関して補足しますと、ご指定されたお花だけでアレンジ花を制作することは殆ど無く、葉っぱや小花など、アレンジを形容し得るお花を入れることを想定しています。

図を見て分かる通り、ご指定されたお花が他に販路を持たない場合、原価率の向上と共に販売価格も上がります。
一方で、先程の例の場合ご指定するお花を70%使い、残りの30%を他で販売出来た場合は、1万円のご予算に収める事が出来ます。

この様な条件を前提に、お花全体のボリューム感や、商品としての完成度。
ご指定のお花をお入れさせて頂く場合、お客様にご満足頂くために仕入れの事を考えます。



入れられるお花とそうでないお花があります



お花のご指定は下記の2点が必須条件となります。
・切り花(*)として流通しているか
・流通している場合時期は合っているか
(*)切り花とは、アレンジ花や花束に入れられるお花の事を指します。

例えば、香りの良い金木犀や、見た目の美しいツバキ等は切り花として流通していませんので、そもそも商品に入れることが出来ません。
植物は根っこや茎を通じて水を吸い上げ生きています。
アレンジ花にする場合、オアシスと呼ばれる人工の水を含んだスポンジにお花を活けるのですが、中にはオアシスから水を吸い上げることが出来ず、枯れてしまうお花もあります。
そういったお花は切り花として販売されていませんので、商品に入れることが出来ません。

また、切り花として流通しており、時期も合っていたとしても、お花の市場に存在しているか否かは別です。
あくまでもご参考程度に捉えて下さい。

市場に存在していた場合に関しましても、先程述べさせて頂いた汎用性や仕入原価の観点からお引き受け出来かねてしまいますケースも多々あります。

多くの場合ご希望に沿うことが出来ない事が多いですので、もしお花のご指定をされ、アレンジ花に入れることが出来れば「ラッキー」位のスタンスで居て頂けますと、大変助かります。



最後に



今回はお花のご指定を受けた際に、供給側で何が起きていて、何を考えているのか、そして価格が高くなってしまうロジックをご紹介させて頂きました。
情報の格差を無くす事でより気持ちよくお花をご購入頂けたら嬉しい。そんな想いで書かせて頂きました。
これからも皆様一人ひとりの想いを形に出来れば幸いです。

ここまでお読み頂き、本当にありがとうございます。

株式会社Sakaseru
代表取締役 小尾龍太郎

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