推すことと、推されること

推すことと、推されること

2020年09月25日

こんばんは。
Sakaseru代表の小尾です。

最近はほんの少しずつ公演も再開しつつありますね。
大変ありがたいことに、コロナウイルス以前からご利用頂けるお客様に、再度お花のご用命を頂戴することも増えてきました。
僕たちSakaseruの事を覚えていてくれて、そして、この様な大変な状況の中、大切な想いを託してくださることに感謝しかありません。
本当にありがとうございます。

Sakaseruを初めてもうすぐ5年が経とうとしています。
大変ありがたいことにご注文の数も5年前とは比較にならない程増え、華々しいスタンド花も信頼頂いてご用命頂くことも増えました。

皆さま一人ひとりが、作品の事例掲載にご協力頂いたり、ご意見を下さるからこそ今のSakaseruがあります。

そんな中、サービス開始当初と一番変わったことは、推して下さるお客様が増えて下さった、ことです。
5年前は、Sakaseruにファンが出来ることなんて全然想像していませんでした。

今回は、推すことと、推されることについて、僕なりの考えをご紹介させて頂きます。
是非、空いた時間でお読み頂ければ、とても嬉しいです。



好きな人をなぜ推すのか



皆さんは、今までどんな方を推して来ましたか?
アイドル、バンド、俳優、女優、想いを込めて推す方は、人それぞれです。

では、その方をなぜ推すのでしょうか?
外見の美しさ、奏でる音、内面の美しさ、その方にしか持っていない魅力、それぞれ推すポイントがあることだと思います。

そして、共通して推すことの出来るポイントは、その方が何かの目標に向けて努力している姿に心を打たれるからだと思います。

僕自身も、皆様から教えて下さった演者さんの公演に赴くと、一瞬の公演を最高のものにするため、演者さん達は恐らく尋常ではない努力をしてきたのだろうな、と心を打たれます。
そして、応援するようになります。

一見華々しい舞台に立つ僕たちの推しも、水面下ではファンに見せない大変な努力をされているのだろうと思います。

そして、その姿勢は演者さん達だけでなく、実は僕たちも同じだったりします。



推されることの喜びと苦悩



推されること、或いは応援されることはとても喜ばしいことです。
実はSakaseruはサービス開始当初から、少ないながらも応援して下さる方々がいました。

僕の起業する姿を見て応援下さる、近い関係のお客様。
出資してくれた投資家。
プレゼンさせて頂いた際の観客の方。
お花屋さん。

起業当初は本当にお金が無かったので、打ち合わせをするとお菓子を用意して下さった方もいますし、自宅までレトルトの食べ物を贈って下さった方もいます。
嬉しくて、情けなくて、狭い部屋で一人で涙を流したこともありました。

期待に応えようと、推して下さる方々の為に、一生懸命頑張ろうと、身を粉にして働きました。

しかし、それが心の大きな重圧、苦悩になる日はそう遠くはありませんでした。
何か新しいアクションを起こす度に真っ先に考えることは、「推してくれる人はどう思うだろう?」という事でした。特に重圧として大きかったのは、投資家とお花屋さんでした。

投資家に対しては、出資して貰った金額を何倍にして返せるだろうか。
お花屋さんに対しては、花業界が幸せになれる事をしているだろうか。

こういった事を何を差し置いても真っ先に考える日々でした。

自分は他者の夢を叶えるための公器であると完全に割り切っていた、ということです。

何か物事がうまく行けば、推してくれる方々に少しでも貢献できたのだろうか?と考えますから、僕自身の幸せはそこには無く、反対に物事が失敗すれば、迷惑をかけてしまったと、強烈な自己嫌悪感に襲われます。

経営者の中には、自らの心を病み、リタイアする方。最悪自らの命を絶ってしまう方もいます。

僕も気づけばそれに近い状態でした。



人は変化する



この事を、中々周りに言いづらかった大きな理由が、自分の中の考えが起業当初から変わったからでした。
具体的には、元々お花屋さんに幸せに働ける環境を提供したいと思いサービスを立ち上げたSakaseruでしたが、現在はお客様に喜んで貰えるサービスでありたいと、考えが変わったからです。

特にコロナウイルスが発生した後は、感染予防対策としてお花受け入れをお断りされる公演も見受けられ、お客様の想いを届ける手段は、何も花に限らなくても良いのでは、と考え始めていました。

また、誤解を恐れずに言えば、お花屋さんの期待に応えるために新しいプラットフォームを作り、収益の部分でも貢献してきたにも関わらず、全く感謝されないのだな、と感じさせる事が積み重なった事もあります。
勿論、全てのお花屋さんがそれに該当する訳ではありません。

更に言えば、お客様が喜んで頂けるのであれば、社長は僕でなくて良いし、他の会社の傘下に入ることだって良いのでは、と考えています。

サービス立ち上げ当初に、僕がトップに立ち、お花屋さんを幸せにすると言ってSakaseruを始めたので、考えが変わったことを周りに伝えることがどうしてもはばかられました。

サービスの方向性と、自分の中の変化の乖離が日々大きくなり、自分自身を追い込んでしまう状況が続きました。



期待の応え方



2019年の冬、自分の心身が明らかにまずい状況であると、とあることをきっかけに気付くことが出来ました。そこで、周りの起業家で、同じ様な境遇を体験した方たちに会いに行き、話を聞いてもらうことにしました。

熱意を持って起業し、その後会社を売却した社長。
周囲と上手く行かずにリタイアした社長。
新たなチャレンジを試みる社長。

お話して分かったことは、僕を含め人はそんなに強くないし、大事な事も、考えも変化するんだよ。ということでした。
莫大な金額で会社を売却した社長も、人と一緒に仕事することに疲れ、全ての関係性を断ち切りたかった、と話していましたし、リタイアした社長も最初は仲の良かった周囲との折り合いが付かず、隠居することにした。と話していました。

僕の心は軽くなり、変化しても良いのだと自分自身に決着を付けることができました。何より、自分自身を大切にする。という当たり前のことに気付くことができました。
久々に会った起業家の友人からは、「小尾くんは鉄人の様な人だと思っていたから、今日会って安心したよ。弱い部分を見せてくれてありがとう。」そんな風に言ってくれました。

僕はこの時からSakaseruを通じて価値提供をするスタンスを変えました。

「Sakaseruは、僕たちのやり方でサービス運営、価値提供をします。誰かの期待に応える為にやっている訳ではないけれども、もし結果的にあなたの期待に応える事になれば、それは良かったです。」

こう考えることで、大分楽になりました。



僕たちらしく、お客様に喜んで頂く



では、どういったやり方でSakaseruを運営するのか。
答えは、お客様に喜んで頂く事を最優先にやる。ということです。
投資家のためではなく、お花屋さんの為でもありません。
Sakaseruや、ミンサカを使って下さるお客様に喜んで頂くことが、僕のやりたいことです。
そのアウトプットが花のこともあるかもしれませんし、花以外のこともあるかもしれません。

特に今回のコロナウイルスの影響で、今までの考えを貫いて生きていけるほど、環境は優しくないのだなと日々実感しています。最初に考えていた大事なことも、今回のことを機に変わることだってあるはずです。

そして、お客様に喜んで頂けるのであれば、Sakaseruを続ける価値もあるのだなと、信じています。
お客様に喜んで頂けることは、Sakaseruそして僕が個人的に強くやりたいことです。
お客様からご意見を頂戴して、開発運営をして、お客様に喜んで頂く。
そんな日々が僕にとっては幸せなことだからです。



最後に



今回のコラムは書くべきか、書かないべきか、迷いました。
なぜなら、少なからず「期待を裏切られた」と思われる方がいるかも知れないからです。
しかし、ここで書かなければ、また誰かの期待に応えようとする自分が現れてしまうので、書くことにしました。

皆さんの応援されている推しも、何かを機に変わることがあるかもしれません。
しかし、華々しい演者さんも、僕たち自身も、人間であることには変わりないわけですから、どうかその変化をあたたかく受け入れて頂ければ、より優しい世界が待っていると信じています。

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